2011年10月10日月曜日

韓国と日本で、車や家電の違いを比べてみた

 韓国の大手企業から製図研修を受注し渡航した際に、日本国内では見ることの少ない韓国製品に焦点を当てて現地を歩いてきました。以下に、機械エンジニアの視点で感じた韓国をレポートします。

韓国の家電製品

 日本では家電製品を購入する場合、駅前や郊外にある大型家電量販店に行くことがあると思います。韓国では日本のような電化製品に特化した大型量販店が少なく、家電製品を比較・選定するための店舗形態として、総合スーパーやデパート、あるいは規模は小さくなりますがサムスンやLGの直販店があります。

 韓国におけるこれらの店舗の特徴は次のようなものです。

  • 総合スーパー:日常生活に必要な食品から衣料、家電製品まで総合的に扱うゼネラルマーチャンダイズストア(GMS)と呼ばれる店で1階に洋品店、地下に食料品があり2階に電化製品などが展示されています。「Home Plus(ホムプロス)」というチェーン店では24時間営業を行っています。
  • デパート:日本のデパートと同様の構成で、1階が化粧品売り場、その上に婦人服、紳士服と続き、その上階の一部に家電製品が展示されています。展示スペースに比例するように商品の種類は限定され、多くの選択肢があるわけではありません。
  • 直販店:日本ではメーカー直系の電気店の数はめっきり少なくなりましたがサムスンやLGなどの系列メーカーの商品を取り扱っており、幹線道路沿いを走るバスやタクシーから店舗を見つけることができます。

 今回は総合スーパーで韓国における家電製品の実態を探ってみました。韓国の家電製品を見てみると、"日本の常識が通用しない"製品が幾つかあります。

エアコン

 日本製品と大きく異なる代表格の家電製品といえるのがエアコンです。

 日本でエアコンというと、室内機は壁掛けタイプで横長の形状が一般的です。ところが韓国のエアコンの室内機は縦型(スタンド型)です。日本と部屋の構成や室内のスペースの違いによるものでしょう。ちなみに、室外機は日本と同じ四角い形状でファンが見えるタイプです。

冷蔵庫

 冷蔵庫は日本と変わらないデザインで、大容量の冷蔵庫が展示エリアの大半を占めています。日本製の大型冷蔵庫といえば、サイズは600L前後ですが、韓国では700L以上のものが売れ筋とのことです。

 また、韓国というお国柄、キムチ専用の冷蔵庫も販売されています。専用冷蔵庫のニーズがあるほど家庭でも大量のキムチが消費されるとは、さすが国民食です。

 余談ですが、現地(韓国)にいるエンジニアに話を聞いたところ、インド向けに大型冷蔵庫を展開したとき、扉に鍵が掛かるタイプがヒットしてシェアを大きく伸ばしたとのこと。インドで大型冷蔵庫の購入するのは富裕層であり、そのような家庭には使用人がおり、使用人がこっそり食料品を食べたり持ち帰ったりすることを防ぐことを目的とした製品であったためヒットしたということです。現地の事情に合わせた視点で商品企画しなければいけない典型的な例であるともいえます。

ノートPC

 日本で販売されているアジア製のノートPCといえば、レノボ(中国)、ASUSTeK Computer(略称はASUS。台湾)、エイサー(台湾)などが有名です。欧米では家電製品のブランド力を生かして、サムスンやLGなどの韓国製が日本製と同等あるいはそれ以上の知名度を持ちます。

 ノートPCやデジカメを購入するとき、日本人の場合は、「同じ価格であれば韓国製より日本製が安心」といった心理が働き日本製を購入するでしょう。ところが欧米人の場合、「同じ価格であれば有名ブランドである韓国製を……」という心理が働いて購入するようで、その結果、韓国製のPCやデジタルカメラが世界的にシェアを伸ばしているといいます。ノートPCやデジカメにおいては、メーカーによる性能差や信頼性の差がなくなっており、ブランド力が購買力につながっていることが伺えます。

ATMと電子マネー

 ほかに、個人的に興味を持ったものとして、コインランドリーで見かけた洗濯用洗剤の自動販売機と総合スーパーで見かけたATMを紹介します。

 洗剤の自動販売機は、コイル形状の送り出し機構を使った構造が外から確認できました。日本だと、菓子パンのなどの自動販売機でよく見られるタイプです。デザインや機構から判断すると、少し年代物の古い機種であるか、コスト優先の製品であることが分かります。

 また、総合スーパー1階のエスカレータ前には、国内でも見掛けるような小型ATMが設置されています。日本国内の物とは若干デザインが異なりますが、同等の操作性や機能を持っているようです。

 ATMを紹介したついでに、韓国の決済事情について簡単に紹介します。韓国の最高額紙幣は2009年に発行された5万ウォンで、日本円に換算すると3500円程度(2011年8月時点)しかなく、現金としての使い勝手がよいとは思えません。そのため、以前から韓国はカード社会になっており、クレジットカードや「T-money」と呼ばれる電子マネーが普及しています。

 電子マネーというと、日本ではカード型やお財布携帯が主流ですが、韓国ではカード型に加えてネックレス型、携帯ストラップ型、バンド型があり、コンビニなどでそのハードウェアの購入や入金処理ができます。T-moneyは韓国鉄道や地下鉄、バス、タクシー、コンビニ、ショッピングモール、書店、自販機などで利用できます。韓国旅行する際に購入しておくと大変便利なアイテムです。

韓国の自動車

 韓国の代表的な自動車メーカーには、ヒュンダイ(現代自動車)、韓国GM(GM Korea。旧Daewoo:GM大宇自動車技術)、キア(KIA:起亜自動車)、ルノーサムスン(RSM:ルノー三星自動車)などがあります。

 世界的に販売台数を伸ばしている韓国製の自動車といえども、日本国内で見かけることは少ないといえます。かつてHyundaiは日本で乗用車を販売していましたが、販売不振により2009年に日本から撤退しています。

 韓国国内を走っている自動車を見ていると、海外らしさをあまり感じることがありません。その理由の1つに日本人の感覚でも受け入れられるデザインの自動車が増えているからだと思います。

 あくまでも個人的な意見ですが、代表的な韓国ブランドのイメージは下記の通りです。

  • ヒュンダイ:"無難"なデザインで万人受けするものが多く韓国国内ではトップシェアを持っています。「GENESIS」ブランドは、トヨタのLEXUS(レクサス)やメルセデスのEクラス、BMWの5シリーズに対抗し競争できるデザインと質感を備えています。
  • 韓国GM:以前はDaewoo(デウ)ブランドで小型車を得意としていたメーカーですが、チープな自動車というイメージがありました。今回、韓国国内でシボレーのマークを付けた自動車を多数見掛け、「アメリカ製の自動車がシェアを伸ばしているのか」と誤解していたのですが、韓国GMとしてシボレーブランドで販売展開しているとのことです。
  • ルノーサムスン:デザイン的にはおとなしいイメージを持つ車が多いように思います。日産と提携していたこともあり、「あれ?日産車じゃ?」と思う車が多いといえます。
  • キア:以前は、良くも悪くも韓国車らしいデザインで、若干チープ感のある自動車というイメージを持っていました。近年、アウディのチーフデザイナーをデザイン部門のトップにしたことで、世界に通用する力強く個性的なデザインを実現しており、世界的にもシェアを伸ばしている成長株のメーカーです。

 今回、個人的に興味を持ったキアブランドで気になるデザインの自動車をソウル市内で撮影してきましたので紹介します。「K5」はコンパクトな車体に精悍なマスクを盛っており、至るところで見掛けることができます。またソウル中心部では黄色く塗られたタクシーにも使われています。

 自動車のデザインの嗜好(しこう)は人によって異なるため、上記に紹介したKIAの3車種が優れているかどうか判断することはできませんが、韓国車はグローバルな展開にあたりデザインを重視したモノづくりに挑戦していることがよく分かります。

 韓国人エンジニアをはじめ、韓国に滞在している日本人エンジニアでも、韓国の自動車について「品質は日本車と遜色ない」と口をそろえます。今後、日本国内で韓国製の自動車がシェアを伸ばす可能性は低く脅威になり得ないと筆者は考えていますが、ウォン安を武器に世界的なシェアはますます伸びていくと予想できます。

 欧米に行くと都市部の大きな看板には必ずといっていいほど韓国企業の広告が見られます。もちろん世界的に活躍している日本企業の看板もたくさんあるのですが、相対的に韓国企業の方が広告に莫大な資金を投資していると感じます。

 製造業においては、BRICsの台頭によって中国やインドの市場や生産活動に注目が集まりがちで、最近は韓国の産業や製品戦略についてあまり焦点が当たりません。しかし、その間にも韓国製品はグローバルに浸透し、日本ブランドよりも有名になり販売シェアを増やしていることは事実です。

 多くの日本人が抱いている「日本製品は品質も信頼性も世界一で、韓国製品はまだまだ2流品」という感覚で製品開発をしていては、ますます"ガラパゴス化"が進み、日本だけがグローバルなトレンドに乗り遅れていくことになります。

 既に海外においては、品質や信頼性の真の実力よりも、企画力やブランド力によって日韓製品のブランドの価値が逆転していることを認識しなければいけません。日本人エンジニアは積極的に海外に足を運び、肌でグローバルな感覚を養うことが重要であると確信します。

 

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